滝いろ|ニコニコ滝群の滝

活動記録



加茂助谷の滝

ニコニコ滝群の滝【三重県 多気郡 大台町 大杉】

滝の記録 ~伝説の滝群への挑戦~

訪問日 2018年4月30日
活動の形態:上級滝巡り+α / 3級下沢登り (5人) / レンタ
装備:8.5mm×50mm×2, 沢タビ
感動度:限りなく~異次元

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大杉谷の登山道から、誰もが目にし、
直下で眺めることもできるニコニコ滝。

この滝はニコニコ滝群出合い滝とも呼ばれ、
上部に滝が続くことを示唆している。

謎に包まれた滝群への接見を狙った山行。

①朝

千尋滝の翌日、起床は4時半。

冬山装備をベースにしてたので、
寒めの夜も全く問題なく快適に過ごすことができた。

50cmの小滝が水を与えてくれる。

河原の小河川が昨日流れていたところまで、
流れていなくて、一晩で 水量が減ったのには衝撃。

7時ごろには出発できる形に。

②尾根越え

ニコニコ滝群へのアプローチは、
とにかく前例がないので、全てが手探り。

今回のプランは泊まった河原から、
すぐ尾根に取り付く形になりました。

登りとしてはピークまで約300mあり、
2・3度休みながら進む。

そこからは北西に進路を変えるが、
山桜のお花畑が広がっていた。。。

対岸に支流があるあたりを目指して下降、
最後は傾斜がキツ目の箇所もありつつ、
約2時間半かけて加茂助谷に降り立つ。

ほぼルートミスはなく、
スムーズに行けたほうだと思います。

加茂助谷は穏やかでとても美しい部分。

③ニコニコゴルジュ

(パンダさん命名)

しばらく休憩して、
いよいよ気を引き締めて下っていく。

そうすると、谷が狭まり
ゴルジュ地形のスタートを予告させる。

そうして、確かめに行ったゴルジュは、
深く磨かれた釜に深すぎる緑色の水をたたえていた。

そしてその特異な釜小滝はその下も続いていて、
降りていくなら泳ぎの連続の世界。

泳ぎの連続で降りれるならまだ良いが、
それぞれの滝の間には、
自然に取れるような支点は皆無。

人工的に作るにも立って
作業できるようなスペースがあるはずもない。
飛び込んでいきたい一抹のドキドキは、
胸にしまっておいて右岸高巻きにて下降を試みる。

④ニコニコ本滝

その途中に木々の間から確認したところ
小滝は三連をなしていた。

さらにその下流には、
長瀑が落ち始めていた模様。

なんとか巻きながら、
この長瀑への接近を試みる。

大きな姿になってきて、感嘆の声が広がる。

最終的に安全を期して、
懸垂で滝前に。

これが、川崎さんが谷を左岸から巻いて、
見ることができなかった、
ニコニコ本滝の姿である。

扇型といったらいいのか、
下部が「キュッと!」
縮こまる見たこともない美瀑。

そしてこの滝は少し高いところから、
見下ろす形になるが、とにかく、
上のゴルジュと同様に、
磨かれすぎていて、下に降りることはできない。

降りてしまったら最後、
そのまま滝壺で溺れ死ぬか、
次の中央滝の落ち口から放出されるか。

「ニコニコ滝」の釜から
這い上がれなかった人がいるというのは、
まさにその通りの場所。

本当に美しい滝でした。

⑤本滝の下降ルート

この滝の前は、
次の滝の落ち口になっていて、
50mはありそうな高度感があります。

単に50mなだけではなく、
ほぼ垂壁で、50mの垂壁の、
懸垂下降など経験がなく、全体に走る緊張感。

パンダさんが何回か、
石をくくりながら、50m分ロープを投げて
地面に届いているか確認をしていただけるが、
なんとも微妙な感触らしく、

50m×2本の懸垂で、
下まで届かない可能性も否定できない。

悔しいのか逆に良かったのか、
もう少し奥側からの高巻きルートを模索。

しばらく進むとガレルンゼがあり、
先になるとかなり細く傾斜を増し始める。

ここは僕が偵察に行って見るも、
ルンゼは落石の巣窟で、結構でかめの岩が、
一度転がり始めると、止まらない感じで、
ルンゼの切れ端から空中に放出され、
数秒後に破壊音が聞こえてくる。。。。

しかし、けれど慎重に進めば、
下までの高度感はルンゼ落ち口から
25m~30m程度と判断。

同時にパンダさんも、
ルンゼから8mぐらい高い左岸に回っていただき、
いけるだろうとの認識。

⑥空中を越えて

パンダさんが先頭で
バックアップを取りながら、懸垂を開始。

下までついた合図の笛の音が聞こえて一安心。

その後、おでんさん・あっきーさんと続き、
4番手で僕が下降。

ガレルンゼの落ち口を越えるとき、
大きめの石を落っことし、
必死で「ラク!!!」と叫ぶ。

(おでんさんに頂いた写真)

そこはまさに垂壁で、かつ、
しばらくするとハング岩になってしまった。

つまり、足で壁をまともに蹴れない
空中懸垂である。

まじかっと思いながらも、
すでに降りている先輩方の存在から、
途中から楽しみながら下降することができた。

最後のはんぺんさんの下降時も、
危険な石が降ってきて、
一歩間違えば、ここで試合終了の局面です。

長いロープの懸垂ルートでは、
単に素早いセットと、慣れと
度胸があれば良いというわけではなく、
一番の核心はロープの回収にある。

ロープが回収できるように、
先頭とラストは特に、
気を配らなければならないし、
このシーンで回収できなければ、
この後フリーで降りなければならない。

一回引っかかるも、無事回収できました。

そしたら谷には、次の大滝が
悠々と放物線を描いているのであった。

⑦中央滝

少し急傾斜を下降して行ったら滝前に。

この滝は環境が凄い。

巨岩が辺りに散らばり、
滝横には圧倒的な側壁が伸びて、
そのまま上のニコニコ本滝に繋がっている。

太古の昔の日本に来てしまったんじゃないか
というタイムトラベル感。

そして、多くの魚が、
人を恐れずに泳ぎまくっている。

下流には70mのニコニコ滝
上流には中央滝とニコニコ本滝。

ここは移動できない、
彼らの楽園だったのかもしれない。

左岸にも移動したり、
一瞬裏見(横見)にも回って見た。

かなり名残惜しいも、
時間がなくなって来たので下へ。

下への下降は沢沿いにかかる、
10mCS滝の下降が厳しく、
左右悩んだ挙句、
はんぺんさんのルーファイで、
右岸を選択したら、これが正解。

その途中、滝を振り返ると、
本滝と合わせた流れが視認できる。

それぞれ接近した状態では、
そこまで巨大な落差を感じなかったものの、
この姿を加味すれば、上の小滝を合わせて、
5段100mはあるだろうとは十分思えます。

ただ地形図の等高線をよくよく見れば、
5段90mクラスなのかなとは思ってもいます。

地形図がずれてることもあり得るし、
経験豊富な先輩方の判断は、
下2段だけでも100m級というものが
大半でした。

ナメ滝を横目に見ながら、近づくと、
ついにニコニコ滝の落ち口が見えてくる。

⑧上段!

この傾斜は結構危険なパートで、
微妙な下降とトラバース繰り返すと、
1.5mくらい切れた溝と左下により近く、
ニコニコ滝の落ち口が見えてきた。

ここは、僕が懸垂下降で偵察でて、
上段に降り立つことに成功。

皆さんに合図を送り、
下まで降りてきていただく。

登山道からも見えるニコニコ滝の上段だが、
こうしてみると、味がある。

10mにとどまらない13~14mくらい
ありそうな滝だった。

しかし、この場所は個人的には怖い部類。
急傾斜の樹林帯とかは比較的大丈夫でも、
するっと滑ってお終いな、
ツルツルの落ち口は気がひける。

パンダさんに習って、
クラックにハーケンを打ち込み、
初めて実戦でハーケン確保を行えた。

ニコニコ滝落ち口からの、
大杉谷本谷の眺め。

各自短めにこの上段滝をカメラに収めて、
少し上まで登り返す。

⑨最後の下降

長かったニコニコ滝群も、
この滝を降りれれば終了だ。

上段に降りる手前2~2.5m弱が
足場の乏しい壁だったので、
あっきーさんを先頭に、
全員フリクションノットでの登り返しで、
再び樹林帯へ。

しかししかし、時刻はすでに
18:00になってきており、
すこーし空も明るさに変化が出てくる。

ここもパンダさんに先陣を切っていただき、
パンダさんの無事の下降を信じて、
崖の中待つ4名。

待てど待てど、
パンダさんからは一向に合図がなく、

「50mだからね」
「時間かかるよね」
「そうですね!」

とはなってみるも、
そもそも降りれるかわからない崖場の中、
なんとも言えない焦燥感を堪能。

笛の合図を送ってみるも、
パンダさんからの合図はなかった。

けれど、その後、しばらくして、
ついに合図が!!

はんぺんさん、おでんさん、
あっきーさんと続き、
今回はしんがりを務める。

待ち続けてようやく自分の番がきて、
ロープが回収できるかを適宜見ながらの下降。

途中で、ルートは横にねじれ、
下部は空中懸垂パートを秘めていた。

なんとか降り立った場所は、
ニコニコ滝右岸のやや高い斜面の中。
ロープが動いて本当に安堵。

しかし、回収時に
石が落ちてきて、
あっきーさんのヘルメットに直撃。

ヘルメットが明らかに凹んでいました。。

⑩ニコニコ滝

ここから斜面を下れば、
僕は近くが初めてとなるニコニコ滝。

もう暗かったので、
スローシャッターで何枚か。

幻想的な佇まいでした。

しかし、最後の懸垂中に
どこかでぶつけたのか、
5年9ヶ月使っていた、SONY ビデオカメラの
ウォータープルーフ部分のガラスが
砕け散ってました。

ニコニコ滝群で散るとは、
カッコ良い相棒でした。

⑪闇下山

本流を対岸に渡る頃には真っ暗で、
ヘッドライトが必須の状況。
登山道まで這い上がったらあとはルート的には安心。

ただ、泊装備で疲労の中、
この下山路は長い。

ここから宮川第三発電所までは4.8km!

なんどもなんども休憩しつつの帰り。

僕の場合、疲労よりも、
水も食料も尽きかけていて、
餓死しそうだったのがきつかったです。
(途中アルファ米をそのままかじり、
パンダさんにはナッツをいただき、
助かりました。)

お月様が出てきて、
感傷的な気分で暗闇の大杉谷を戻ってきます。

車の前に着いたのは、
22時45分頃となります。

⑫まとめ

沢登り的なグレードに無理やり当てはめると、
「3級下」のステージにはなるんじゃないか、
というのが僕の実感。

ルートが見えたことで
イメージづくりはしやすいと思いますが、

確実かつスムーズなロープワーク、
絶対に回収できること、
ロープ引き時の落石処理、
ミスのないルーファイ、
泊装備(人によっては撮影機材も)で、
動き回れる体力、
斜面での底力。。。

これらは必要になってきます。

僕自身単独では、無理な場所でした。
(装備面とロープの回収)

パーティの皆さんのお力で、
無事完遂できた活動。

扇型のニコニコ本滝前の
スペースからの側壁は間違えなく、
50m以上ありましたが、

その場所は本滝の最下部よりは、
10m近く高い場所だったはずなので、
そういう意味では被りがあり、
僕としては5段90m以上とさせていただきます。

大台の道の駅に戻れたのは、
日付が変わっていて、コンビニで買った
カップ焼きそばで餓死を防ぎながら、
翌日の計画を話し合いました。
(銚子川不動谷の滝)

7:00 千尋谷発
9:48 加茂助谷着
10:27 滝群の落ち口
11:20頃 大釜滝(ニコニコ本滝)前に
11:55ごろまで撮影
12:10~35頃 直接降りられないか模索
右岸からルンゼ模索→下降へ
14:10 空中懸垂で降りたつ
~中央滝での時間~
15:10頃 中央滝発、左岸で少し迷う
16:15 懸垂でニコニコ滝上段に降り立つ
~撮影→登り返しで下降へ~
18:20 落ち口右岸の崖で自分の番を待つ
~ニコニコ滝右岸懸垂下降(一部空中)~
18:47 ニコニコ滝下
~5年9ヶ月使用したハンディカムがお陀仏~
21:10 お月様を見ながら歩く
22:45 宮川発電所車着

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